大きくて、ふわふわで、イケメンで、かわいかった。
私よりも年下のくせに、いつ何時も私には負けたくない様子だった。
私が抱っこしようとすれば逃げて、追い越そうとすれば吠えて、牙だって剥かれたし、呼んでもいつも一定の距離までしか近づいてくれなかった。一緒に寝ようとベッドに連れて行ってもすぐに下りるし、やっと寝てくれた!と思ったら数分後にはどっか行っちゃうし。
だけど、私が熱を出して本当にしんどい時は近寄ってきてくれた。寒くて仕方ない日は、私の脚の間で丸まって寝ていた。兄と遊んでいる時は、途中から参加してきて一緒に遊んだ。
小学2年生だった私は、社会人になったよ。
私が幼かったのもあって、うちに来てからしばらくは単に「かわいいペット」という気持ちだった。
高3で受験のストレスが溜まりつつあった頃、ふとあなたをとても愛おしく思った。「かわいい」が「心の底から湧き上がるかわいい」になった。母親曰く、これを「萌え」というらしい。この時期から私は、あなたのことがかわいくてかわいくて仕方なくなった。
小さい頃のことは正直あまり覚えていないのだけど、毎日玄関まで見送りに来てくれて、毎日玄関まで迎えに来てくれたね。
歳をとって、視野が狭くなったり耳が聞こえにくくなったりしても、必ず見送りに来てくれたね。
歩くのがしんどい時は、遠くからこっちを見てくれていたよね。
食べることが大好きで、人間食もたくさん食べちゃったね。
太っていたのもあるけど、ミニチュアとは思えないサイズ感で、あなたの血統書は本物なの?と何度疑ったかな?(今でも疑っているよ笑)
たくさん旅行に行ったね。
たくさん写真を撮ったね。
みんな、あなたのことが大好きで、留守番させられなかったの。
外食もほとんど行かなくなったよ。
旅行もあなたが泊まれるところを探したよ。
買い物に行く時は誰か1人が残ったよ。
あなたを中心に家族の予定を合わせていたよ。
年老いてはいたけど、直前までいつも通りで。
あまりにも突然で気持ちが追いつかないよ。
ふと、DEAR MY LOVERの新写真を調べて買った。すがるものは結局ここなのだと。
私たちの最後は何だった?
でも呼んだら来てくれたよね。
そういえば、触れる距離まで来てくれたね。
目も合ったよね。
あなたなりの最後だった?
ツンデレなりに優しくしてくれた?
あたたかくて、やわらかい からだ。
本当に、つめたくかたくなってしまうんだね。
心臓がわずかに動いていたから、咄嗟に心臓マッサージをした。でも無理だった。だけど、途中で何回か吐き出しそうな声を出した。あなたなりに生きようとしたのかな?
ねえ、だいすきだよ。
たくさん癒してくれてありがとう。
天使のようなかおで毎日見つめてくれてありがとう。
この家に来てくれてありがとう。
生まれてきてくれてありがとう。
もう会えないんだね。
私が生きる何十年に、もうあなたはいないんだね。
どうすればいいの。
人生の半分以上にあなたがいたの。
ねえどうすればいいんだよ。
なんであんなにかわいい子を焼かないといけないの。
でも最期に立ち会えてよかったよ。
最期まで見送ることができてよかったよ。
しあわせでいてね。
おじいちゃんたちによろしくね。
まだ実感が湧いてないし、未来もわからないけど、私は生きていくしかないんだね。
本当にありがとう。
優しくしてくれてありがとう。
この人生において最高に素敵な出会いだったなー!
本当にだいすき!
いつでも帰ってきていいんだからね。
毎日思い出すと思うよ。
忘れることなんて絶対にないよ。
だから、みんなのこと見守っていてね。
またね。